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変形地に建てた実例

ホーム変形地に強い設計事務所高低差があるからこそ得られるもの

高低差があるからこそ得られるもの

ポイント

高低差の生かし方

名古屋市東部の大きな都市公園、大高緑地のすぐ近くに、約145坪の敷地が売りに出されていました。この敷地は一戸建てを建てるには広すぎるので、通常は不動産業者や建築業者などの専門家が購入し、整地や区画分けを行った後に分譲されることが一般的です。しかし、なかなか買い手が見つからないのか、長期間にわたり売地として販売され続けていました。実際に現地を訪れると、すぐに分かる大きなデメリットが2つ。ただ、逆にこの土地ならではのメリットもあり、適切な設計と施工を行えば、魅力的な建物が完成するだろうと思いました。まずは、デメリットについてお話しします。

 

デメリット1 高低差9メートル

道路から東西に向かって伸びる形で、しかも奥に進むと緩やかな傾斜があります。さらに一番奥には更に急な崖がありました。なんとかよじ登ってようやく上がれるほどの急勾配です。一番奥の部分と道路面との高低差は約9メートル。こういった急勾配の土地に対する造成工事となると、平らを作るために土を削ってコンクリートで留める工事が大掛かりになるため工事費も多くかかります。工事に慣れている会社でないと、全体予算がコントロールできません。

デメリット2 南側にマンション


南側に5階建てのマンションがあるため、南からの採光と眺望を得ることはできません。加えて、マンションの廊下が敷地側にあるため、お互いのプライバシーを確保するため南側に窓をとることはほぼ不可能な状況でした。ただ、問題があるのは南面だけで、北東方向は民家とほどよく離れ、東側には小さな森があり、西側は大きな都市公園があります。緑豊かな環境のため、名古屋市内と思えないほど静かで鳥のさえずりが聞こえてくるほどです。特に、一番奥の崖の上からは名古屋市北部やその奥の山並みが見え、広く景色が味わえます。この眺望を建物に取り入れたい。この土地を購入し、設計に取り組むことに決めました。

 

解決策

高低差を生かした眺めを2階リビングに取り込んでしまう

解決策 その1

2階に庭を作る

大高モデルハウス_テラス

崖地の高い部分にある土を残して広い芝生のお庭を作り、2階にリビングスペースを配置して、2階ながらも外の自然を感じる空間に設計しました。この建物とテラスが一体で奥の崖の高低差を抑えたため平坦な土地が生まれ、道路側手前の2棟が建てやすくなりました。

この庭のおかげでリビングの広がりも生まれました。1階の玄関から階段を上がり2階に向かうとリビングがあり、そこからさらにテラスと庭が一体となった広々とした空間が広がっています。リビングからは、小さな森の景観が楽しめるだけでなく、庭とのつながりも生まれ、隣地との程よい距離感を作り出すことができました。また、リビングの大きな窓からは1階に設置する一般的な窓よりもさらに多くの光を取り込み、開放的な雰囲気を作り出しています。

このウッドデッキはリビングの床と一続きになっているため、広がりがプラスされる効果とともに、斜面の高低差を吸収する役割も果たしています。元の斜面をできるだけ削らずに工事を進める工夫です。

上記写真はテラスを貼る前の状態です。テラス板下地に斜面と土留めが見えます。テラス板を貼ってしまえば斜面を意識しなくなる点もメリットです。

解決策 その2

眺めを取り込む

北側はこの敷地より低いため、建物で視界が遮らないため北の見晴らしはずっと市街地や遠くの山並みまでみることができます。この眺めを建物に取り入れるため、北側に大きな窓を設けました。

階段室に大きな窓を設置しています。2階に上がるたびに窓からの景色が近づくダイナミックさがあります。この北の窓からの採光は、太陽からの日差しではなく外からの明るさのみ取り込んでいて、更には隣家からも遠いため、光や視線をカーテンで遮る必要がないのもポイントです。

この窓からは長野と岐阜にまたがる名峰 御嶽山(おんたけさん)がみえることも。「昨日は見えなかったけど今日は見えるね。」と、天気や気温によって見え隠れする景色で暮らす方の楽しみになってくれれば幸いです。

大高分譲モデルA_眺め

YouTube動画「【総集編】大高緑地公園/崖地を活かした眺望の良い名古屋の邸宅」でもこの土地を案内していますのでぜひご覧ください。